白内障と緑内障を併発している場合に手術は一緒にできる?
2022.01.05
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人は加齢に伴い、眼の中の水晶体が白く濁る「白内障」や、視神経に障害が起こる「緑内障」で多くの方が悩まされます。
発症する原因は加齢以外にもさまざまありますが、どちらも視力を低下させる病気です。
どちらも進行性の病気なので放置で治るということはありません。
この記事では、白内障と緑内障の同時手術はできるのかについて詳しく解説します。
白内障と緑内障の手術は一緒にできる?
白内障と緑内障は異なる眼の病気・疾患ですが、厄介なことに、併発してしまう場合があります。これは、白内障の放置で緑内障を進行させてしまうケースがあるからです。
しかし、近代医学は進み、当時は難しいとされていた白内障と緑内障の同時手術はできるようになりました。
眼の中には、「房水」と呼ばれる液体があり、通常であれば循環と排出により眼圧を安定させる働きがあります。しかし、何かしらの原因で房水の排水口が塞がると房水が排出できず眼圧が上昇してしまいます。
緑内障も白内障も、「房水」を排出させることで眼圧状態を改善させることができるのですが、緑内障手術では白内障と同時に手術を行うことができる「トラベクトーム」と「iStent(アイステント)」で行います。
トラベクトーム手術
トラベクトームは、緑内障手術(線維柱帯切開術)に使う機械のことです。
トラベクトームを用いて手術を行うと、10~20分程度で手術を完了させることができます。
緑内障の手術は眼圧を下げるのが目的で眼圧を下げる事で将来の失明を予防することを最大の目的としています。
この手術でよく見えるようになるというわけではありませんが、失明のリスクを回避することができます。
病院にもよって異なりますが、手術後は、日帰りで帰れることもあれば、経過を観るために1週間ほどの入院になる場合もあります。
トラベクトーム手術の費用の目安は、片眼で保険適用3割負担の場合で約60,000円、保険適用1割負担で約18,000円です。
iStent(アイステント)手術
iStentは緑内障を治療するために使われる医療機器です。
チタンという材質でできており、長さは1mm、重さは60㎍と極小のなのが特徴です。
このiStentを眼の中の組織に埋め込むことで、房水と言われる眼圧を調整する液体の眼の中での循環を改善し、眼圧を下げる働きがあります。
あくまで自然な房水排出を促すのみのため目に優しい手術です。
iStent手術の費用の目安は、片眼で保険適用3割負担の場合で約90,000円、保険適用1割負担で約18,000円、自由診療だと片目で220,000円ほどかかります。
白内障と緑内障の手術を一緒に行うメリット
白内障と緑内障の手術を同時に行うメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
白内障や緑内障は早い方なら40歳台から進行が開始し、初期の段階では自覚症状があまり出ないので徐々に進行が進んでしまう厄介な病気です。
その白内障と緑内障ですが、同時に行うメリットは、何回もメスを入れなくて済むことにあります。
何回も眼にメスを入れるということは、それだけ機能は弱くなってしまいますし、また術後感染などのリスクも生じやすくなります。
また、「眼圧が下がる」「水晶体が透明になり視野検査が行いやすく、他の眼病を早期発見可能」「目薬がしやすくなる」「緑内障発作リスクが軽減される」といったことが主なメリットとして挙げられます。
白内障と緑内障の手術を一緒に行うデメリット
白内障と緑内障の同時手術はメリットが多いため、どちらも症状があり進行している場合は積極的に同時手術をすることをおすすめします。
デメリットについては、術後感染のリスクくらいです。
この術後感染のリスクは、白内障や緑内障だけに限らず、どの手術にも当てはまることなので、そこまで気にすることはありません。
基本どの病院でも、術後感染に気を付け、万全の衛生対策に努めています。
白内障と緑内障のどちらかから手術を行うケース
緑内障を発症する多くの方は中高年以上の方です。
しかし、進行が遅いため、気が付かないまま白内障を併発しているケースも多いです。
また、緑内障手術を行うと白内障の進行が早まる可能性があるので注意が必要です。
そのため、緑内障と診断された場合は、白内障が合併していないかの検査も行うようにしましょう。
もし、緑内障と白内障を合併している診断された場合は、緑内障と白内障の同時手術をおすすめします。
白内障の手術を行うと、眼圧を下げることができ、上記メリットで紹介したようにさまざまなメリットを得ることができます。
まとめ
今回は、白内障と緑内障の同時手術はできるのかについて紹介しました。
この記事をまとめると、
- 白内障と緑内障の同時手術は可能
- 同時手術にはメリットが多い
- 緑内障と診断された場合は、白内障が合併していないか検査する
以上となります。
白内障も緑内障も加齢に伴い、誰もが発症してしまうリスクのある病気です。
早期発見が視力低下を防ぐことができるので、定期的に検査するようにしてください。