ブルーベリーの目に対しての効果とは?成分による作用を詳しく解説
2019.02.06
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“ブルーベリーは目に効果がある”と言った話は有名ですが、本当にブルーベリーを食べることで目の視力回復効果などはあるのでしょうか。
人の目に良いとされるブルーベリーはサプリメントも多くあり、眼精疲労や視力回復効果があると言われている商品がたくさんあります。
そこで今回の記事では、ブルーベリーの目に対しての効果について詳しく解説します。
ブルーベリーの目への効果とは?
ブルーベリーを食べることで視力回復などの眼科疾患に対しての効果はあるのでしょうか?
ブルーベリーが目に良いとされる理由は、成分のアントシアニンの効果によるものとされていますが、結論からお答えすると、「ブルーベリーの摂取が人の眼に有効であるという効果を示すメタ分析研究・研究結果報告などはありません。」
そのため、目に対してのヒトでの有効性・安全性については信頼できるデータがないと言えるのです。
「ブルーベリーが目に効果的」の由来
ブルーベリーは目に効くと言った話はみなさんも一度は聞いたことがあるかと思いますが、その話の由来はどこからきたのでしょうか。
この話の由来は、第二次世界大戦のイギリス空軍が流したデマが元ではないかとされています。
第二次世界大戦のイギリス空軍のパイロット「ジョン・カニンガム(John Cunningham)」は、夜間の戦闘でも活躍したエースパイロットでした。
ジョン・カニンガムが夜間でも戦闘で活躍できたのは、最新鋭のレーダー搭載の戦闘型デ・ハビランド モスキートのおかげだったのですが、それをドイツ軍などに知られないようにするために、イギリス軍の情報部がプロパガンダとして「アントシアニンやカロチン、ビタミンAが夜間の視力アップに効果的」というデマの情報を流したことから始まったようです。
元々は、ニンジンに含まれるアントシアニンの効果とされていたのですが、ブルーベリーにも多くのアントシアニンが含まれているため、目の視力回復や視力アップに効果的として広まったようです。
ジョン・カニンガム
ジョン・カニンガム(John Cunningham, 1917年7月27日 – 2002年7月21日)は、デ・ハビランド社のテストパイロットであり、後に取締役になった人物。また、第二次世界大戦において夜間迎撃戦闘機で活躍したイギリス空軍のエースパイロットでもある。
最終階級はイギリス空軍大佐。
レーダー搭載の夜間戦闘型デ・ハビランド モスキートに乗り、第二次世界大戦でドイツ空軍との空戦で活躍した。 当時のイギリス情報部の宣伝により猫目のカニンガム(Cat’s Eyes Cunningham)と呼ばれていたが、彼自身は酷いネコ嫌いであり、このニックネームを嫌がっていた。
当時のイギリスでは、夜間戦闘の戦果がレーダーによるものであることを隠蔽するため、夜間迎撃部隊のパイロットは優れた夜間視力を得るために毎日ニンジンを食べていたとPRした。 この話は現在でも一部のニンジンに含まれるアントシアニンやカロテノイドが目に良いことの根拠として語られているが、イギリス情報部による全く根拠の無い捏造話である。
戦後は、世界初のジェット旅客機となるDH.106 コメットの初飛行も行なっている。
実際のアントシアニンの効果とは?
ブルーベリーが目に良いとされる理由の1つとして挙げられるのがアントシアニンが豊富に含まれている食べ物だからなのですが、実際のアントシアニンの効果にはどのようなものがあるのでしょうか。
アントシアニンを身体へ摂取した場合、網膜にある「ロドプシン」という物質の再合成を助ける効果があります。
このロドプシンには、網膜に映った映像を電気信号に変換し、脳に伝えるという大事な役割がある物質です。
ロドプシンはモノを見る時に光で分解されてしまう性質があるため、常に再合成する必要があります。
このようなことから、アントシアニンがロドプシンの再合成を助ける効果が期待できるので、眼の病気に有効なのではないかと期待されてきたのです。
そのため、ブルーベリーを摂取することで、明るい所から暗い所に入ったときの暗順応が早くなるといった効果は認められています。
しかし、冒頭でも伝えたようにブルーベリーの摂取がヒトの眼の疾患対して有効であるという効果を示すメタ分析研究・研究結果報告などはないのです。
では、目以外のアントシアニンの効果にはどのようなものがあるのでしょうか。
抗酸化作用
アントシアニンには、体の老化やさまざまな疾患に深い関りのある活性酸素を除去する抗酸化作用が認められています。
活性酸素は、紫外線やストレスなどで体の中に発生するのですが、体の中で大量に発生してしまうと、ガンや脳卒中、動脈硬化などを引き起こすことがあります。
アントシアニンには、これらを効果的に摂り除く抗酸化作用があり、同じ抗酸化作用のあるビタミンCよりも安定した抗酸化作用があります。
他にも、クランベリーやカシス、プルーン、ぶどう、ラズベリー、紫イモ、小豆などにもアントシアニンが多く含まれています。
糖尿病性網膜症の予防
ブルーベリーに含まれるアントシアニンには、糖尿病性網膜症の予防効果も期待できます。
糖尿病の合併症のひとつである、毛細血管のトラブルによる網膜剥離などにおいて、アントシアニンをカラダへ摂り入れることで、毛細血管のトラブルを正常化する高い効果が得られるとされています。
コラーゲンを安定させる
アントシアニンには、コラーゲンを安定させる作用も認められています。
コラーゲンは、皮膚の弾力性を保つたんぱく質で、いつまでも若々しくみずみずしい肌を保つのに必要不可欠な成分で、アントシアニンを吸収することで、コラーゲンの合成を促進する作用が認められています。
毛細血管の保護・強化作用
ビタミンP(フラボノイド)には、毛細血管の透過性が良くなり過ぎるのを抑える効果がある成分で、小板の凝固を抑制し、血液をさらさらにする効果も期待できます。
アントシアニンは、このビタミンPと似た働きがあると認められており、血管の保護や強化の改善が期待できるとされています。
結論:ブルーベリーで目は良くならない
巷でよく見かける「ブルーベリーで視力回復」などと宣伝には騙されないようにしましょう。
今この記事を読んでいる方の中にも、ブルーベリーのサプリメントを毎日欠かさずに摂取している方もいるのではないでしょうか。
ブルーベリーを摂取することでアントシアニンが吸収されるので、暗順応機能の促進、糖尿病性網膜症の予防効果、抗酸化作用、毛細血管保護・強化作用、循環改善作用などは期待できるので体に嬉しい成分なのは間違いないのですが、視力回復を目的として飲むのは間違った選択と言えます。
誇大広告には注意!
ドラッグストアや薬局などでさまざまな種類のサプリメントを売っているメーカー(名前は伏せます)のブルーベリーサプリメントであっても、よくパッケージを見てみると一言も目に良いとは記載されていません。
ブルーベリーは目に良いという噂から、パッケージに記載されている文言を脳内で変換して目に良いと解釈している方も多いのではないでしょうか。
また、目の視力回復効果があるなどとパッケージに記載がある商品は逆に疑うべきです。
化学的な証明はされていないのでいかにも怪しい商品だからです。
もちろん、ブルーベリーには体に良いさまざまな効果があるので積極的に摂取するのは問題ありませんが、何度も言うように目の視力を回復するなど目の疾患を改善する効果は期待できないので注意するようにして下さい。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、ブルーベリーの目に対しての効果について詳しく解説してきました。
ブルーベリーは目に良いという話は、巷では有名ではありますが、実際に人の眼に有効であるという効果を示すメタ分析研究・研究結果報告はないということがわかったと思います。
身体にうれしいさまざまな効果は期待ができても、目の症状改善に役立つ成分ではないので、注意するようにして下さい。