甲状腺眼症(バセドウ病)とは?原因や治し方などを解説
2021.08.10
閲覧数ランキング
眼病の1つ、甲状腺眼症(バセドウ病)。
バセドウ病は目が出てくる病気でも知られており、なにが原因なのか、視力は大丈夫なのか、ちゃんと治るのかなど、現在心配になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、甲状腺眼症(バセドウ病)の原因から治し方、予防法まで詳しく解説します。
甲状腺眼症(バセドウ病)とは
甲状腺眼症は、主としてバセドウ病の患者さんに合併する眼の合併症のことを言います。
主な症状としては、眼が飛び出す、物が二重に見える、両眼がまっすぐ向かない、眼が閉じられない、まぶたが腫れる、眼が大きくなる、眼の奥が痛む、まぶたや白目が赤くなるなどを症状とする疾患です。
バセドウ病を発症した方にとって心配のひとつは「目がとびだす」ことです。
しかし、バセドウ病を発症した方全員に目の異常が出るわけではなく、まぶたの異常も含めると眼症はバセドウ病患者様の30%ほどと言われています。
甲状腺の病気になるとこれらの症状が現れ、これを総称して甲状腺眼症といいます。
甲状腺とは
甲状腺は、首の前側にある15~25グラムの臓器のことを言います。
甲状腺ではサイロキシンとよばれるホルモンが産生され、サイロキシンは、体の代謝率をコントロールする役割があります。
甲状腺からたくさんのサイロキシンが分泌され、血中のサイロキシン濃度が増えると、体の代謝が盛んになり、サイロキシンの分泌が少ない時は体の代謝が低下します。
甲状腺眼症(バセドウ病)になる原因
甲状腺眼症を発症する原因は、バセドウ病の原因と同じように、自己免疫の異常が原因と考えられています。
まぶたや眼球の後ろ側の組織に炎症が起こると、その部分がむくんで腫れてしまうため様々な症状が現れはじめます。
症状の1つである眼球の突出は、炎症により腫れてしまうため、眼球が前に押し出された結果生じ、眼球の後ろにある目を動かす筋肉が腫れると、目の動きが悪くなり、物が二重に見えるようになります。
さらに腫れあがった筋肉によって視神経が圧迫されると視力障害が起こることもあるので注意が必要です。
甲状腺眼症(バセドウ病)の治し方
甲状腺眼症(バセドウ病)を治すには血液中の甲状腺ホルモン値を正常化させることが重要となります。
そのため、メルカゾールなどの抗甲状腺薬をしっかり内服するようにしましょう。
目の裏の筋肉に炎症が起こっている場合や視神経の障害があれば、ステロイドバルス療法を用いることもあります。この治療法には、副腎皮質ホルモンの炎症をおさえる効果を利用して、目の裏の炎症を鎮める効果が期待できます。
例外はありますが、基本的に3日連続してステロイドホルモン剤を点滴し、4日休むという方法を3回繰り返します。
このステロイドパルス療法で目の裏の炎症をすみやかに鎮めた後、目の裏の組織に放射線をあてて炎症が再び起こらないようにします。
ステロイドパルス療法をおこなった後は、約6ケ月間にわたり少量のステロイドホルモン剤を内服する必要があります。
ステロイドホルモン剤には一定の副作用がありますが、中止すれば副作用もおさまります。
また、まぶたの腫れやつり上がる症状には、ステロイドホルモン剤の局所注射を行うことがあります。
ステロイドホルモン剤を用いた治療は炎症の強い時には効果が期待できますが、逆に炎症が少ないときにはあまり効果が期待できません。そのため、前もってMRI検査で炎症の程度を確認しておく必要があります。
さらに、炎症が治まっている状態で、目の見開きに左右差がある場合は。ボツリヌス毒素の局所注射やまぶたの手術を行うことがあります。
他にも、腫れているまぶたの脂肪を切除する手術や眼球を引っ込める手術、眼球運動障害による斜視に対する手術などもあります。
現在どのような症状なのか、どのような治療が必要なのかを確認するためにも、該当する症状が起こっている場合は速やかに受診し検査をする必要があります。
甲状腺眼症(バセドウ病)の予防法
甲状腺眼症(バセドウ病)の予防には、甲状腺の病気を引き起こさないように普段から注意して日常生活を過ごす必要があります。
特に以下の3点に1つでも該当する方は注意するようにして下さい。
- ストレスが溜まりやすい
- 食生活が乱れがち
- 喫煙者
これらに該当する方はどのように予防をすれば良いのか具体的に見てみましょう。
ストレスが溜まりやすい方
ストレスは病気の引き金になることがあり、甲状腺眼症も該当します。
現代社会はストレスが溜まりやすい時代と言われているため、趣味などの時間を増やしてできるだけストレスを発散させてあげることが大切です。
ストレスの原因は人それぞれ異なり、不規則な食事や嫌な仕事などが原因となるケースもあれば、思いがけない理由が隠れている可能性もあります。
まずは自らの精神状態に向き合い、必要に応じて適切な対処をするように心がけるようにしてください。
食生活が乱れがち
食事は健康を維持するのに最も重要な要素ではありますが、食生活の乱れは甲状腺眼症だけでなく様々な病気のリスクとなるので注意が必要です。
甲状腺に良いとされている食べ物には、マッシュルームやニンニク、海鮮類、卵、さらにはチアミンを含んでいる牛乳も良いと言われています。
基本的に偏った食事は避けつつ、栄養バランスを考えながら1日3度の食事を摂取するようにして下さい。
食事による日々の積み重ねは、カラダの状態を大きく変化させてくれます。
喫煙者
タバコは体にとって悪な存在として知られています。
実際にタバコを吸っている人は甲状腺が肥大しやすく、バセドウ病などのリスクが高まると言われています。
また、喫煙は、本人のみならず周りの方へ影響を与えてしまうため大きな注意が必要です。
無理に喫煙を行おうとすると逆にストレスになってしまうこともあるので、禁煙外来などを活用して自分のペースで禁煙するようにして下さい。
まとめ
甲状腺眼症(バセドウ病)の原因から治し方、予防法まで紹介してきました。
今回の記事をまとめると、
- 甲状腺眼症はバセドウ病の患者に合併する眼の合併症のこと
- 甲状腺眼症は自己免疫の異常が原因
- 日常生活を見直し甲状腺眼症を予防する
甲状腺眼症を一度発症してしまうと完治するまでに多くの時間を必要とします。
そのため、普段からできることでしっかりと予防をし、甲状腺眼症を発症しないようにすることがとても大切です。