白内障と瞳孔不同の関係とは?

2022.03.24

白内障と瞳孔不同の関係とは?

左右の瞳孔の大きさが異なる瞳孔不同(どうこうふどう)。白内障との関係はあるのでしょうか。

水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気の白内障は、80代以上のほとんどの方が発症する病気です。

主に加齢に伴い発症する病気ですが、糖尿病やアトピー皮膚炎などを伴う方の発症リスクが高いこともわかっています。

この記事では、白内障と瞳孔不同の関係性について詳しく解説します。

瞳孔不同とは?

瞳孔不同とは、瞳孔の大きさが不均等になることを意味します。

瞳孔は、眼の中心にある黒目の部分で明るいところでは大きく開き、明るいところでは小さくなります。

通常、両眼の瞳孔はほぼ同じ大きさで、光にも同じように反応するのですが、左右の瞳孔の大きさが異なる状態を瞳孔不同といいます。

大半の場合、瞳孔不同は良性であり、心配する必要はないのですが、重篤疾患の症状の可能性などもあるので注意が必要です。

瞳孔不同が生じる主な原因

瞳孔不同を起こしてしまう主な原因には以下のモノが挙げられます。

  • 外傷
  • 目の手術による既往
  • 目の炎症
  • 視神経疾患
  • 先天的異常
  • 緑内障発作後
  • 網膜機能の低下
  • 点眼薬による影響

瞳孔不同の種類

一言で瞳孔不同と言っても種類があります。

  • 単純瞳孔不同
  • 病的瞳孔不同
  • 機械的瞳孔不同
  • 薬理学的瞳孔不同

それぞれの特徴を詳しく見てみましょう。

単純瞳孔不同

単純瞳孔不同は、本質的瞳孔不同や生理的瞳孔不同とも呼ばれる瞳孔不同の一種です。

最もよく見られる種類の瞳孔不同で、患者の約20%に影響を与える良性の状態です。

単純瞳孔不同では、瞳孔の大きさの違いは通常1ミリメートル以下で、通常は両方の瞳孔が光に反応します。

単純瞳孔不同の正確な原因は判明されていませんが、断続性、持続性の場合や、自然に消退することがあります。

病的瞳孔不同

基礎疾患によって瞳孔の大きさが不均等になる瞳孔不同を病的瞳孔不同と言います。

病的瞳孔不同は、虹彩炎などによって目に炎症が見られると、瞳孔の収縮を引き起こすため症状が現れます。

虹彩炎には、目の感染症、炎症性の基礎疾患、外傷など多くの原因があるため、瞳孔不同にならないように普段から目を清潔に保つ必要があります。

機械的瞳孔不同

機械的瞳孔不同は、虹彩などによって目の支持構造が損傷することにより、 瞳孔の大きさが不均等になる症状です。

眼の外傷、眼科手術の合併症、閉塞隅角などさまざまな原因がありますが、虹彩の構造の先天性異常も、機械的瞳孔不同の原因と見なすことができます。

薬理学的瞳孔不同

薬理学的瞳孔不同は、言葉どおり薬の副作用として瞳孔の大きさが不均等になる症状です。

薬理学的瞳孔不同の潜在的な原因として特定されている薬剤のひとつに、うつ病の治療に使用される選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)があります。

また、緑内障点眼薬を片目だけに使用する場合も瞳孔不同を引き起こすケースがあります。

他にも、抗ヒスタミン薬、充血除去薬、三環系抗鬱薬、乗り物酔いの薬、制嘔吐剤、抗痙攣薬、パーキンソン病の薬、ボトックスおよびボツリヌス毒素を含むそのほかの薬、アトロピンなどが瞳孔を散大させ、光に反応する能力に影響を与える可能性があります。

白内障と瞳孔不同の関係

ここまでの説明を見ると、白内障と瞳孔不同の関係はないのかと判断されるかと思いますがそうではありません。

生まれつき虹彩が部分的または完全に欠如し、非常に大きな瞳孔が生じる稀な状態に「先天性無虹彩症」があります。

無虹彩症は通常両目に影響を与えるもので、先天性白内障や緑内障などのほかの深刻な目の問題を伴います。

また、瞳孔不同は、目の手術後に現れるケースもあるため、白内障手術後に瞳孔不同の症状がしばらく続くような場合もあります。

まとめ

今回は、白内障と瞳孔不同の関係性について詳しく解説しました。

この記事をまとめると、

  • 瞳孔不同は左右の瞳孔の大きさが異なる症状
  • 外傷や目の手術、炎症などによって症状が現れる
  • 瞳孔不同には種類がある
  • 基本的には瞳孔不同は良性であり心配する必要はない
  • 白内障手術後に瞳孔不同の症状が現れるケースがある

以上となります。

瞳孔不同は、原因がわかる場合とわからない場合がありますが、基本的には良性の症状です。

ただし、稀に重篤な症状につながる場合もあるので、症状が見られて心配な方は、一度眼科でしっかりと検査するようにしてください。