視力低下を防ぐにはどうすべき?そのポイントを解説

2019.08.03

視力検査のマークと眼

視力低下を防ぐためには、まずはなぜ視力が低下してしまうのかを理解しなければなりません。

視力低下の原因を理解するためには、人間がものをどのように見てるのかを理解することが大切です。

人間がどのようにものを見ているのかがわかれば、視力低下を防ぐためには何が大切かも理解できるようになるでしょう。

そこでこの記事では、視力低下を防ぐためにどうするべきであるのかについて説明していきます。

まずは視力低下のメカニズムを理解しよう

眼の断面図
正常な視力(正視)を持つ人は、何かものを見るとき、水晶体で屈折した光が眼球の後方にある網膜にピントが合います。

眼球を横からみた場合、黒目の部分には、角膜と呼ばれる透明な膜がドーム状にせり出していて、これが第一のレンズの役割を担っています。

角膜の奥には茶色いドーナツのようなかたちをした虹彩があって、この虹彩が開いたり、閉じたりすることによって、目の奥に入る光の量が調整されています。

虹彩の更に奥にあるのが、第2のレンズと呼ばれる水晶体です。

角膜を通して光が目に入ると、水晶体は厚みを変化させ、網膜にピントを合わせます。

網膜が捉えた光は、視神経を通じて脳に転送され、脳は像としてこの光を認識します。これが、人間がものを見るときのメカニズムです。

人間は網膜にピントが合うことによってものを見ることができます。

そのため、眼球の前後の長さがわずか数mmでもずれてしまえば、網膜の上でピントが合わなくなってしまいます。

その結果、ものがぼやけて見えるようになってしまいます。

ものがぼやけてみえるだけではなく、目がかすむ、二重に見える、視野に幕がかかっているなども代表的な症状です。

これが基本的な視力低下のメカニズムです。

近視と遠視、乱視とは

網膜の前でピントが合ってしまう症状は「近視」と呼ばれ、網膜の後ろでピントが合ってしまう症状は「遠視」と呼ばれます。

近視は、ピントが合わせられる範囲が近すぎてしまうので、近くのものはきちんと見えますが、遠くのものがぼやけて見えます。

逆に、遠視はピントが合わせられる範囲が遠すぎてしまうので、遠くのものはきちんと見えますが、近くのものがぼやけて見えます。

見るものまでの距離にかかわらず、どこにもピントが合わない状態は「乱視」と呼ばれます。

乱視の症状として代表的なのは、ものが2重にぶれてみえるということです。

乱視が強くなってしまうと、どこを見てもピントが合わなくなってしまい、目が疲れやすく、視力のさらなる低下を招くことになります。

それでは、こうした視力低下を防ぐためには、どうしたら良いでしょうか?以下では、視力を防ぐための方法についてわかりやすく解説していきます。

視力低下を防ぐために大切なこと

本を読む男性
低下してしまった視力を回復することは、手術なしには大変難しいことです。

医学的には、低下した視力を手術なしで回復することはできません。

原因が治療できないものである以上、メガネやコンタクトレンズなどによって、視力を矯正するしか道はなくなります。

近視、遠視、乱視など、固定してしまったピントのズレは放っておいても治ることはないので、日頃から視力が低下しないように心がけることが大切です。

現代人の多くが悩まされているのは、近視による視力の低下です。

現代人に近視が増えたのは、スマートフォン、携帯電話、ゲーム機器、パソコン、テレビゲームといったデバイスを見る機会が増えているからです。

これらの機器は、自分の近くでものを見ることになって、その状態が徐々に固定化されてしまい、ピントがずれて視力が低下してしまいます。

厳密に言えば、ものを近くで見続けてしまうと、水晶体を厚くしたり、薄くしたりする筋肉が長時間縮んだまま緊張した状態となるので、遠くのものを見ようとしたときに、十分に筋肉が伸びず、ピントが合わなくなってものが見えにくくなってしまいます。

また、近くでみる映像は、視神経への情報量が大きくなるので脳内の情報処理が多くなる結果として、目の周辺の血流も悪くなり、目に疲労が蓄積されてしまいます。

たがって、近視による視力の低下を防ぐためには、筋肉が長時間縮んだまま緊張した状態にしないことが大切です。

現在人は、日常生活のなかで多くのものを近くで見すぎています。

しかし、これらは深く日常生活に入り込んでいるため、遠ざけることは用意ではありません。

不用意にこれらのものを遠ざけるのではなく、それらとうまく付き合う方法を模索することが大切です。

読書や勉強、パソコン作業などで目を酷使したら、1時間に一度程度休憩をとり、遠くを見るようにします。

そうすることで、緊張した筋肉を弛緩させることができます。

これを行なうときには、遠くのものが見やすいように明るい場所で行なうと効果的です。

近視による視力低下は多くの場合、日常生活を是正することによって防ぐことが可能です。

背筋をきちんと伸ばし、目と本は30cm以上離して読むなどを読書の際には心がけたり、暗いところで本やPCなどの画面を見ると目に負担がかかりやすくなるので、できるだけ明るい場所で本を読む、PCなどの画面を見ることを心がけるようにします。

瞼を意識的にパチパチしたり、目を上下左右にぐるぐる動かしたりすることも、水晶体につながる筋肉を弛緩させることにつながって効果的です。

目が疲れているなと感じたら、目を閉じて十分な休息をとったり、蒸しタオルなどで目を温めることもリラックス効果が高く効果的と言えます。

このように、視力の低下を防ぐためには、普段のちょっとした日常生活を見直すことから始めることが大切です。

日常生活の仕方が変われば、視力の低下をかなりの確率で防ぐことにつながります。

もちろん、視力が低下するのは、必ず近視だからというわけではありません。

透明体である角膜、水晶体に障害が生じれば、当然視力は低下します。

この場合、目の中に入ってくる光やものの像が遮られることによって、視力が低下していると感じるわけです。

このような場合には、透明体が不透明であることに起因しているので、緊張を緩和するための時間を設けたとしても、治るものではありません。

目の異常や極端な視力の低下を感じた場合には、単に近視による視力の低下ではなく、病気による視力の低下の可能性もあるので、専門的な知識のある専門医に相談するようにしてください。

まとめ

視力低下を防ぐためには、あなたの日常生活から見直していく必要があります。

現代人の多くは、スマホ、PC、本など、自分の近くでものを見がちです。

結果として、水晶体の筋肉が常に緊張状態となってしまい、もとに戻るはずの筋肉が十分にもとに戻らない結果として、視力が低下してしまいます。

最近では、子どもから大人まで近視を原因とする視力低下が問題視されるようになりました。

視力の低下スピードは個人差がありますが、最近では、子どもの視力の低下も問題視されるようになっています。

視力の低下を防ぐためには、視力低下のメカニズムの基本をきちんと理解し、それに応じて対策をとらなければなりません。

視力低下の原因が、眼精疲労のような筋肉に緊張によるものでない場合には、目の病気である可能性も十分に考ええられるので、専門的な知識のある医師に相談することが大切です。