網膜裂孔のレーザー治療を受けた後、白内障の手術は可能か?

2018.12.06

オペ

網膜裂孔のレーザー治療を受けた場合、白内障の手術はできるのかと疑問に思ってはいませんか?

網膜の亀裂や穴を「網膜裂孔〈もうまくれっこう〉」といい、治療にはレーザー治療を行うのが一般的です。

そこで今回の記事では、網膜裂孔のレーザー治療後に白内障の手術は可能なのかについて紹介します。

網膜裂孔のレーザー治療を受けた後の白内障の手術方法

基本、網膜裂孔のレーザー治療を受ける時に白内障があるような場合は、術後ではなく、同時に治療をするのが一般的です。

しかし、網膜裂孔のレーザー治療を受けた後に白内障になってしまった場合は、どのように治療をするのでしょうか。

網膜裂孔のレーザー治療を受けた後の白内障の手術は、医師の診察を受けて検査しながら白内障の手術が可能な状態なのかをまず確認します。

網膜裂孔のレーザー治療後、あまり日数が経過していないような場合は、しばらく観察を続けて白内障手術ができる状態まで回復してから行います。

手術ができる状態と診断されたら、白内障手術で一般的な「超音波乳化吸引術」を用いて、結膜をわずかに切開して、細い器具を眼球内に入れ、水晶体の前嚢(ぜんのう)切り開きます。

その器具の先端からにごった水晶体に向けて超音波を当て、後嚢(こうのう)と呼ばれる水晶体の後方の壁以外の水晶体を砕いていきます。

その後、超音波により砕いた水晶体を吸引し、そこにできたスペースへ、眼内レンズを挿入します。

視機能の変化はすぐにあらわれ、手術を受けたその日のうちに視野が明るくなり、以前よりもはっきりと見えるようになります。

網膜裂孔とは

はてな

網膜とは眼球の最内側にある厚さ0.2mm程の透明な膜組織です。

この網膜には、光を感じ取り、それを視覚情報に変換する役割があります。

目で見た情報(視覚情報)は、視神経を通して脳に伝わることでモノが見えるのですが、水晶体がカメラのレンズならば、網膜はフィルムに相当します。

眼球内部の構造は、硝子体という無色透明なゼリー状の組織で満たされおり、網膜はその硝子体の表面と接して構成されています。

このゼリー状の組織は加齢とともにさらさらした液体に変化し、その容量もどんどん減少していきます。

硝子体の液化が進行すると、網膜が離れて隙間ができ、後部硝子体剥離という症状が起こるのですが、硝子体と網膜の癒着が強かったり、網膜が弱くなっていたりすると、収縮する硝子体に引っ張られるような形で網膜が引き裂かれてしまい、亀裂や孔ができることがあります。

このような状態を網膜裂孔と言います。

網膜裂肛が生じた状態を放置すると、網膜剥離が発生し高度の視力低下をきたす可能性が高くなるため、予防する処置としてレーザー治療が必要です。

網膜裂孔に対するレーザー治療

網膜裂肛に対するレーザー治療は、網膜光凝固術と言われるレーザー治療が一般的です。

レーザー治療を行う場合は、眼瞼を散瞳し、麻酔用の目薬をした後に、レーザー治療用のコンタクトレンズを装着します。

網膜円孔や網膜裂孔の周りの網膜にレーザーを照射しながら、網膜が剥離しないように焼き固めていきます。

術中は、多少の痛みを伴うことがありますが、大体10分程で1回の治療は完了します。

レーザー治療後は、目の状態が落ち着くまでは、強く抑えたりこすったりすることはNGです。

また、激しい運動なども避け、経過観察の診断の時に医師から説明があり、場合によっては、後日追加でレーザー治療を行うケースもあります。

このレーザー治療を行う利点は、網膜剥離の発生を9割以上の確率で予防できることにあります。

とはいえ、治療を行っても網膜剥離が発生してしまい、網膜剥離用の手術が必要になる場合もあります。

基本的に、レーザー治療に危険性はなのですが、ごく稀にレーザー治療後に白内障が進行したり、眼底出血を起こしたり、緑内障、黄斑円孔、角膜障害などの合併症が原因で視力の低下などが起こることがあります。

また、レーザー治療時に、白内障が認められるような場合は、光凝固術ではなく、硝子体手術で白内障手術を同時に行うことが多いです。

白内障手術の大体の費用

手術費用

白内障の手術は、濁った水晶体を取り除き、代わりとなる眼内レンズ(人工水晶体)に置き換える手術が一般的です。

眼内レンズを入れる手術は2種類あり、

  • 超音波乳化吸引術
  • 水晶体嚢外摘出術

があります。

一般的に多くの眼科や病院で多く行われているのは、傷口が小さく安全性が高い手術の「超音波乳化吸引術」で、濁った水晶体を超音波で分割、取り除き、眼内レンズを挿入します。

白内障の手術にかかる費用は、保険適応(3割負担)の単焦点眼内レンズを用いた場合の片眼の費用で、日帰りで5万円ほど、入院で8万円ほどです。

また、症状の程度によって、手術時の注射や薬剤などが変わってくるので多少前後することがあります。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、網膜裂孔のレーザー治療後に白内障の手術は可能なのかについて案内してきました。

網膜裂孔は、網膜剥離などに繋がるので早めの治療が必要です。

網膜裂孔のレーザー治療を行っても、医師と相談し目の周囲の状態を確認し、手術が可能な状態であれば白内障手術を受けることができます。

レーザー治療の危険性はほとんどないので、網膜裂孔の疑いがあるような場合は、悪化する前に医療機関で診てもらい治療するようにして下さい。