白内障とステロイドの関係を解説。副作用やその影響とは

2021.06.12

白内障とステロイドの関係を解説。副作用やその影響とは

白内障にステロイドは関係しているのでしょうか。

白内障はさまざまな原因で起こりますが、最も多いのは、加齢によって水晶体が濁ってくる加齢白内障です。

その他、全身疾患に伴う白内障(アトピー、糖尿病)、併発白内障(ぶどう膜炎)、ステロイド白内障(ステロイド剤の長期投与)などがあるとされています。

今回は、白内障とステロイドの関係性、副作用やその影響について詳しく解説します。

ステロイドとは

ステロイドとは、両方の腎臓の上端にある副腎(ふくじん)から作られる副腎皮質ホルモンの1つです。

ステロイドの主な作用は以下のとおり。

  • 抗炎症作用
  • 細胞増殖抑制作用
  • 血管収縮作用
  • 免疫抑制作用

このステロイドをステロイドホルモン薬として使用すると、体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があります。

そのため、さまざまな疾患の治療に使われているのですが副作用も多いため、注意が必要な薬でもあります。

抗炎症作用

ステロイドには抗炎症作用があり、炎症を促す物質の産生を抑制します。

主にステロイド系抗炎症薬と非ステロイド系抗炎症薬の2種類に分類されます。

細胞増殖抑制作用

ステロイドには細胞増殖抑制作用もあります。

主に炎症反応を引き起こす細胞の増殖を抑える働きがあります。

血管収縮作用

ステロイドを用いることで血管収縮作用もあります。

炎症部の血管を収縮させることで、患部の赤みを鎮める働きがあります。

免疫抑制作用

ステロイドを服用することで免疫抑制作用も期待できます。

主に、抗体の産生を抑制する働きがあります。

ステロイドの副作用

ステロイドは難病に対してさまざまなうれしい作用がある反面、注意すべき副作用も多く存在します。

ステロイドを用いた治療を行う場合、避けては通ることができませんので、どのような副作用があるのかを見ておきましょう。

感染症

ステロイドを用いると感染症のリスクが高まります。

主に、細菌、ウイルス、真菌などの感染症は、ステロイドの副作用の中で最も重要な副作用の一つ。

感染症にかかりやすくなったり、感染が治りにくくなったりするため、不必要な人混みへの外出を避け、感染症の予防をすることが大切です。

骨粗鬆症

骨粗鬆症もステロイド服用時の注意すべき副作用です。

骨粗鬆症は、骨量が減って骨が弱くなり骨折しやすくなる病気で、長期間ステロイドを服用することでリスクが高まります。

高血圧やむくみ

ステロイドの一般的な副作用でもある高血圧やむくみ。

特に寝起きなどに起こりやすいので注意が必要です。

白内障や緑内障

ステロイドを長期間服用すると白内障や緑内障のリスクが高まります。

長期間服用しなければいけないような治療中の方は、定期的に眼科を受診することをおすすめします。

副腎不全

長期間ステロイドを服用しては、副腎が萎縮してしまうため、自分でステロイドをつくる力が弱くなってしまいます。

この状態でステロイドを急にやめてしまうと、本来、副腎からつくられるステロイドがないために、低血糖、ショック、下痢、発熱などの命にかかわる症状が起こる可能性があるので注意が必要です。

そのほかの副作用

ステロイドの長期服用には上記以外でも多くの副作用が報告されています。

筋力低下、膵炎、高脂血症、 肥満と糖代謝異常、血栓症、精神・神経症状、消化性潰瘍、月経不順、骨壊死症、クッシング徴候、手のふるえ、筋肉の痙攣などの症状が起こる場合もあります。

ステロイドと白内障の関係

副作用の部分で、ステロイドを服用することで白内障のリスクがあると説明させていただきましたが、ステロイドを使用されておられる方すべてが白内障を発症するわけではなく、その因果関係もはっきりと証明されているわけではありません。

ステロイド薬には内服薬、吸入薬、塗り薬、目薬などさまざまな種類があります。

この中で、白内障の原因になりやすいのは全身疾患の治療に使用される内服薬と喘息などで使用する吸入薬の2つです。

ステロイド薬による白内障は発症すると進行が早いため、数ヶ月から1年程度で手術が必要になるほど視力が低下することが特徴です。

水晶体の眼の奥に近い部分の中央に皿状の濁りができるので、眼科医は濁りを見ただけでステロイドが原因であることがわかるほどです。

そのため、ステロイドを服用、吸入するような方は必ず定期的に眼科を受診することが大切です。

ステロイドを使用する際の注意点

白内障が気になる方や現在白内障の方でステロイドを使用している方は以下の3点に注意しながら服用するようにして下さい。

  • 急に内服を中止しない
  • ストレス時にも注意が必要
  • 定期的に眼科を受診する

詳しく見てみましょう。

急に内服を中止しない

ステロイドホルモンは一定量が身体の中で生理的に分泌されていますが、一定数以上の量を長期に内服した場合、副腎皮質からのステロイドホルモンが分泌されなくなってしまいます。

そのため、急に薬を飲まなくなると、体の中のステロイドホルモンが不足し、倦怠感、吐き気、頭痛、血圧低下などのさまざまな症状が見られることがあるので注意が必要です。

ストレス時にも注意が必要

身体に痛みを伴うような治療、手術や抜歯などを行った場合は、体にストレスがかかります。

このように体にストレスを与えるような場合は、ステロイド薬の増量が必要なケースがあるので、主治医に事前に相談するようにして下さい。

定期的に眼科を受診する

上でも説明しましたが、全身疾患の治療に使用される内服薬と喘息などで使用する吸入薬のステロイドは白内障の原因となりやすいため注意が必要です。

なんども言うようですが、ステロイドを服用、吸入するような方は必ず定期的に眼科を受診してください。

まとめ

白内障とステロイドの関係性、副作用やその影響について紹介してきました。

  • 全身疾患や喘息で用いるステロイドは白内障の原因となりやすい
  • ステロイドを服用、吸入方は定期的に眼科を受診
  • 服用中の方は急に内服を中止しないようにする

ステロイドはさまざまな症状の治療薬として優れている反面、白内障を含むさまざまな副作用を引き起こしてしまう可能性があります。

しかし、他のできることで普段からしっかり予防しておくことで白内障のリスクを軽減することは可能です。

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