アドオンレンズ(Add-On)|白内障の手術後に追加で挿入できる眼内レンズについて解説

2021.10.05

アドオンレンズ(Add-On)|白内障の手術後に追加で挿入できる眼内レンズについて解説

白内障の手術を受けた目に対して追加で挿入できる眼内レンズのアドオンレンズ(Add-On)と呼ばれるレンズがあるのはご存知でしょうか?

白内障は、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気。症状が悪化すると、視界が全体的にかすむ、視力が低下する、光をまぶしく感じるといった自覚症状が現れるため、水晶体の代わりに目の中にレンズを埋め込む手術をするのが一般的です。

では、アドオンレンズはどのようなときに用いると良いのでしょうか。この記事では、アドオンレンズ(Add-On)について詳しく解説します。

白内障のアドオンレンズとは?

アドオンレンズ(Add-On)とは、白内障の手術を受けた方が、何かしらの理由で再度追加の補正が必要になったときに用いられる専用の眼内レンズです。

主に補正目的で用いられ、手術後に見られる近視や遠視、乱視などを補正できます。

さらに、アドオンレンズの良い点は、単焦点眼内レンズによる手術を行っても改善できなかった老眼に対しても効果が見られ、多焦点アドオンレンズを用いることで老眼治療ができます。

そのため、せっかく白内障の手術をしても眼鏡をかけないと生活できなかったような人たちに、裸眼視力の改善目的として用いることができるのです。

乱視矯正用アドオンレンズ

乱視矯正用アドオンレンズは、白内障手術後に残ってしまった遠視・近視・乱視といった屈折の異常を矯正し、裸眼での視力向上を目的とした追加挿入専用の眼内アドオンレンズです。

もともと白内障手術単独では、精度の高い度数調整が不可能なため、乱視が強く感じる方の場合、手術後も眼鏡やコンタクトレンズでの矯正が必要でした。しかし、近年になり乱視用矯正の眼内レンズが登場してきましたが、以前に白内障手術を受けている方の眼内レンズの入替をおこなう手術はリスクが高く非常に困難でした。そのため、レーシックで度数調整をおこなう治療が一般的でした。

これらを改善できるようにしたのが、アドオンレンズ。手術時間も5分程度で回復も早く、ドライアイなどのリスクもないため、患者への負担がより少なくなりました。

多焦点眼内アドオンレンズ

多焦点眼内アドオンレンズは、既に白内障手術を行い、単焦点眼内レンズが入っている眼に対して、多焦点眼内レンズの機能を追加する挿入専用の眼内レンズです。

過去に白内障手術を受けている場合は眼内レンズの入替をおこなうのはリスクが高く困難でしたが、このレンズが登場してから、多焦点眼内レンズを入れたのと同等以上の状態できるようになりました。

アドオンレンズのメリット

アドオンレンズを用いるメリットは以下のものがあります。

  • 近視・遠視・乱視を矯正できる
  • 老眼鏡の使用頻度を減らせる
  • 合わない場合でも元に戻せる

アドオンレンズを用いることで、視力を矯正するレーシックよりも見え方の質がよくなります。結果、近視・遠視・乱視を矯正できるので角膜でレーザーを削るよりも安全です。

また、白内障手術を行っても視力面であまり回復の効果が見込めず、眼鏡が必要になる方がいます。このような方にもアドオンレンズを用いることで眼鏡を使用する頻度を減らすことができます。

さらに、アドオンレンズは、万が一自分の眼に合わなくても、摘出するだけで手術前の状態に戻せます。

アドオンレンズのデメリット

アドオンレンズにはメリットが多いですが、デメリットもあります。

  • 手術費用が自費
  • 街灯や車のライトが眩しく感じる場合がある
  • あまりにも近いものが見にくく感じることがある
  • 薄暗いところでの文字が見えにくい場合がある
  • 視力が安定するまでに半年ほどかかる場合がある

まず、アドオンレンズは、健康保険適用外の手術のため、費用は自費になります。レンズは輸入品が多いため、費用は異なりますが20~40万円ほどの費用が生じる場合があり、これに手術費がかかります。

さらに、ライトなどの明るいものを眩しく感じたり、近すぎるものが見えにくかったり、視力が安定するまでに時間がかかる場合があります。

アドオンレンズの禁忌

アドオンレンズを用いる上で、適用される条件と、手術適用外になる条件があります。

アドオンレンズの適用条件

アドオンレンズを用いた治療を行う上で、医師の説明をしっかりと理解していることが重要です。

これに加えて、白内障手術後の眼内レンズが嚢内に固定されている眼であることがアドオンレンズを用いた治療を行うことができる条件となります。

アドオンレンズの手術適用外

以下に当てはまる場合は、アドオンレンズの手術適用外となります。

  • 活動性の眼疾病がある場合
  • 角膜異常(代償不全や内皮損傷など)
  • 使用中の眼内レンズが不安定な場合
  • アドオンレンズの固定が確保できない場合
  • 18歳未満

また、眼疾患によって将来視力が0.7以下に低下する可能性がある場合や、網膜レーザー治療の必要性が予想される場合なども手術適用外と判断されるケースがあります。

まとめ

今回は、アドオンレンズ(Add-On)の特徴からメリット・デメリット、適用される条件、手術適用外になる条件について詳しく紹介してきました。

この記事をまとめると、

  • アドオンレンズは、白内障の手術後に用いられる眼内レンズ
  • 白内障手術後に補正が必要な場合に用いられる
  • 近視・遠視・乱視を矯正できる
  • 保険適用外のため自己負担額が大きくなる
  • アドオン治療ができる場合とできない場合がある

以上となります。

アドオンレンズは、今まで出来なかった術後の補正を可能とした最新の治療法ではありますが、手術が可能な場合と不可能と判断されてしまう場合があります。

また、メリットやデメリットをしっかりと理解した上で治療を行うようにしてください。