先天性白内障とは?原因や症状、予防法まで解説
2021.11.25
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先天性白内障は、出生時または出生後早期から存在する水晶体の混濁です。
通常白内障は、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気で、完治させるには手術が必要です。
今回の記事では、先天性白内障について詳しく解説します。
先天性白内障とは
先天性白内障とは、出生時または出生直後から存在する、痛みを伴わない水晶体の混濁のことです。
先天白内障は、名の通り、先天的な素因によって生まれつき水晶体が混濁する病気なのですが、成長とともに現れ、進行するものもあり、その場合は発達白内障と言います。
先天性白内障は、新生児、乳幼児、学吸期までに発症する白内障のことをいいます。
混濁の強い高度の先天白内障は、視覚刺激を遮断するため重度の弱視をきたします。発症は約1万人に3人に起こる稀な病気ですが、瞳の中が白濁している場合には、直ちに眼科に受診して的確な診断及び治療を受けることが大切です。
先天性白内障の原因
先天白内障は、生後早期に水晶体が白く濁る病気で、先天素因、胎内感染や、常染色体優性遺伝、染色体異常、子宮内感染、風疹、トキソプラズマ、サイトメガロウイルスなどのほか、さまざまな全身疾患・症候群に伴って起こるものもあります。
このように、原因は遺伝によるものと、母親が妊娠中にかかった風疹によるものとが知られていますが、妊妊娠中に感染した場合は、水晶体全体が白く濁る全白内障になる場合が多いです。しかし、風疹ワクチンの普及で発症率は少なくなりました。
先天性白内障の注意すべき症状
瞳の中に白い濁りがあることに気づいたら、早急に眼科を受診するようにしてください。
ご両親やご兄弟に先天白内障の方がいるような場合は、生まれてすぐに眼科に受診された方が良いです。
高度の両眼性先天白内障では、生後10週以降になると眼の揺れや異常な眼の動きが目立つようになります。
片眼性の場合には生後3, 4 ヵ月になると白内障の方の眼が斜視になります。このような症状が出た場合には早急に手術が必要になります。
片眼性で発見が遅れた場合には手術をしても視力が向上しないので注意するようにしてください。
白内障は遺伝する?
白内障はさまざまなことが要因となり発症しますが、遺伝的なものが原因として発症するケースもあります。
先天性白内障の発症確率は約1万人に約3人と非常に稀ですが、加齢白内障の遺伝率に関していうと、年齢の経過と共に発症する白内障なので、誰にでも発症するリスクがあります。
そのため、自分が白内障になったとしてもそれが両親の加齢性白内障が遺伝したものとは限りません。
また、白内障の遺伝に関しては、「白内障は遺伝する?」の記事で詳しくまとめているので合わせて確認してみてください。
先天性白内障の予防
先天性白内障は、早期発見と早期手術がとても重要です。
早い段階で適切な処置をしないと、視力の発達途上の乳幼児期に刺激が遮断されてしまうために高度の弱視が引き起こされてしまう場合があります。このような状態になると、治るものも治らなくなってしまうので注意が必要です。
乳児期は、視性刺激遮断に対する感受性がきわめて高いので、生まれた直後から高度の白内障がある場合には、両眼性では生後10 週、片眼性では生後6 週までに手術を行うことが大切です。
手術を行い、眼鏡やコンタクトレンズを装着し、片眼性の場合に良い方の眼をアイパッチで隠して悪い眼の方を使わせる訓練を開始すると、最良の視力が発達するようになります。
先天性白内障の治療
先天性白内障の治療は、形態と混濁の程度、合併症の有無を診断してから迅速に手術が行われます。
水晶体の軽い濁りは誰でも持って生まれるのですが、これは線維細胞の発育不良による濁りで、老人性白内障の新陳代謝異常で起こる濁りとは異なります。
そのため、先天性白内障と診断されるような白内障でも、進行するものは稀なのですが、中には急激に濁りがひどくなるケースもあるため、早急な手術が必要なのです。
全白内障の場合は、生後2~3週間以内、遅くとも2ヵ月以内には手術が必要です。不完全白内障の場合は、様子を見ながら適切な治療を行っていきます。
先天性白内障の手術で問題になるのは、手術そのものではなく、術後の視力の矯正となるからです。
まとめ
今回は、先天性白内障について詳しく解説してきました。
この記事をまとめると、
- 先天性白内障は出生直後から存在する痛みを伴わない水晶体の混濁のこと
- 新生児、乳幼児、学吸期までに発症する白内障のことを言う。
- 原因は、先天素因、胎内感染や、常染色体優性遺伝、染色体異常、子宮内感染など
- 先天性白内障は遺伝することがある
- 早期発見・早期治療・早期手術がとても大切
以上となります。
先天性白内障は、早い段階で適切な処置をしないと一生視力が回復しないような手遅れな状態になってしまいます。
そのため、少しでも心配な場合は、できるだけ早急に眼科を受診するようにしてください。