三焦点眼内レンズのファインビジョンとは

2021.11.03

三焦点眼内レンズのファインビジョンとは

白内障手術用眼内レンズには、ファインビジョン(FineVision)高性能3焦点眼内レンズがあるのはご存知でしょうか。

水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気「白内障」は、一般的に手術を行い、眼内レンズを挿入することで症状を回復させます。

今回は、白内障手術に効果的な、三焦点眼内レンズのファインビジョンとはなにかについて詳しく紹介します。

ファインビジョンとは

日本では、多焦点眼内レンズが使用されるようになったのは、厚生労働省の認可を受けた2007年以降です。

それまでは、手元か遠方どちらかにしかピントが合わなかった単焦点眼内レンズが一般的でした。しかし、認可を受けて以降、手元と遠方の両方にピントが合う多焦点眼内レンズを用いることができるようになり、眼鏡が必要なくなることが多くなり、生活の質の向上がされるようになりました。

眼内レンズのファインビジョン(FINE VISION)は、遠くと近くと中間距離の3点に焦点を合わせることができる眼内レンズです。

2011年に、眼内レンズ発祥の地、ヨーロッパの眼内レンズメーカー「Physiol」社から、従来の2焦点眼内レンズの問題点であったコントラストの低下を実用上解消する革命的な白内障手術用眼内レンズとして発表されました。

ファインビジョンのメリット

ファインビジョンの特徴を大きくまとめると以下の3つを挙げることができます。

  • 近距離、長距離、中間距離、全て眼鏡無しでよく見える
  • 近視の矯正にも優れた効果を発揮
  • 多焦点眼内レンズの弱点だったコントラストやハローとグレアを改善

コントラスト(鮮明さ)や、ハローとグレア(暗い場所での「光の輪」、「にじみ」)が非常に低いレベルまで改善できたのは、ファインビジョン最大のメリットとも言えます。

また、単焦点や2焦点レンズは、特に中間距離が見えない問題がありましたが、ファインビジョン(3焦点眼内レンズ)が、他の眼内レンズに比べて中間距離が見やすいことは、眼鏡の使用頻度を減らすことに繋がり、わずらわしさから解放され快適な日常生活をもたらしてくれます。

中間距離の見え方が変わるということは、パソコンや手元の写真など、それぞれにピントを合わせることができるので白内障手術でおすすめの眼内レンズと言えます。

白内障の影響で視力低下、かすみなど日常生活に不自由を感じている方、原則的に白内障以外に眼疾患のない方、老眼鏡に頼る生活から解放されたいと希望している方、術後の見え方をはじめ医師の説明を理解できる方には、ファインビジョンが適しています。

ファインビジョンのデメリット

ファインビジョンには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

中でも最大のデメリットと言えるのが、保険適用外のため通常の白内障手術よりも高額になること。

他にも、遠方にも近くにもピントを合わせるようになっているため、個人差はありますが見え方に慣れるまで少し時間がかかる場合があります。

多焦点眼内レンズの適応・不適応については、綿密な術前検査とヒアリングに基づき決定されますが、以下に該当する方は、不適応となるケースがあるので覚えておきましょう。

  • 乱視が強く白内障以外に眼疾患を抱えている方
  • 見え方の質がお仕事に直結される方
  • その他、医師が不適応と判断した方

ファインビジョンの手術費用

ファインビジョンの手術費用は、保険診療でないため、全額自費となります。

手術前後の検査、診察、お薬代は保険適応ですが、手術費・レンズ代がかかります。

クリニックによっても異なりますが、手術・レンズ代が片目40万円前後、両目で80万円前後になります。

ただし、生命保険の先進医療特約や確定申告時に医療費控除が受けられるので各種確認するようにするとよいです。

また、先進医療の分については非課税のため消費税はかかりません。

多焦点眼内レンズとは

最後に、多焦点眼内レンズの特徴をまとめてみました。

単焦点眼内レンズは遠く、中間、近くのどれか1点にしかピントが合いませんが、多焦点レンズは2つ以上の焦点にピントが合うレンズのことを言います。

多焦点眼内レンズはメガネなしで見える範囲が広がるので、とても便利なのですが、単焦点眼内レンズに比べて見え方で気になる点もあります。

コントラスト感度の低下と、夜間のハロー・グレアです。ハローは光のまわりに輪がかかったように、グレアは光が花火のように見える現象のことなのですが、通常、手術後、時間が経過するに伴い気にならなくなる方がほとんどですが、どうしても気になるという方もいます。

同じ多焦点眼内レンズでも、今回紹介したファインビジョンは、多焦点眼内レンズの弱点だったコントラストやハローとグレアを改善しているので、非常に優れた眼内レンズなのです。

まとめ

今回は、白内障手術に最適なファインビジョン(FineVision)高性能3焦点眼内レンズについて詳しく紹介してきました。

この記事をまとめると

  • ファインビジョンとは高性能3焦点眼内レンズのこと
  • 多焦点眼内レンズの弱点を改善したレンズ
  • 近視の矯正にも優れた効果を発揮
  • 自費のため、両目の手術・レンズ代で80万円前後の費用がかかる

ファインビジョンは眼鏡なしで日常生活を送ることができる非常に優れた高性能3焦点眼内レンズです。

保険適用外のため、高額負担になりますが、これから白内障の手術を考えているような方は、選択枠の1つに入れてみてはいかがでしょうか。