糖尿病網膜症とは?その症状や原因を解説

2020.01.24

眼球

糖尿病網膜症という病気をご存知でしょうか?

糖尿病に関係する目の病気なのですが実際どのようなものでしょうか。

今回はそんな糖尿病網膜症の症状や原因について紹介していきます。

目に関係することなので放置すると視界のかすみや、視力の低下だけでは済まない場合もあるので是非参考にしてみてください。

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症とは、糖尿病の合併症として網膜症が発症した状態のことをあらわします。

なぜ糖尿病が網膜症を併発するリスクがあるのかというと糖尿病のように高血糖状態だと血糖のコントロールが難しくなるので網膜にも影響をおよぼす可能性があるのです。

そうして網膜に影響がでると血管障害を引き起こすので糖尿病網膜症へと進行します。

糖尿病という病気

糖尿病は、血液中の血糖が慢性的に高くなることで発症する病気です。

人間は血糖値を下げるためにインスリンと呼ばれるホルモンを機能させますが、このインスリンが不足していると糖尿病を引き起こす可能性があります。

糖尿病は、家族に糖尿病患者がいるなど遺伝的なケースもありますが、それ以外に40歳以上の人という年齢的な部分もあれば、食生活の乱れ・著しい運動不足・肥満体型など生活習慣病が原因とされています。

また心筋梗塞や脳梗塞といった代表的な病気はもちろん合併症のリスクもあって、今回紹介している糖尿病網膜症、それに加えて糖尿病腎症・糖尿病神経障害の三大合併症と呼ばれる病気があります。

現代の糖尿病患者の数

現代の糖尿病患者数は、糖尿病情報センターによる統計によれば、糖尿病患者数と糖尿病予備軍を合わせて約2,000万人(2019年10月15日時点)ほどいるとしています。

また平均的に年齢が高い人の方が糖尿病を患っているリスクも高く、直近20年間で見ると糖尿病患者数は年々上昇傾向にあるともしています。

出典 : 糖尿病に関する統計・調査と社会的な取り組み | 糖尿病情報センター

糖尿病網膜症の症状

眼の検査機械
糖尿病網膜症は、初期段階・中期段階ではほとんど自覚症状を持つことができません。

しかし、実際に検査してみると血管から小さな出血が見られるなどの異常が初期で、眼がかすむなど視界の不良を感じる症状が中期であらわれている場合があります。

症状が末期段階にまで進行すると視力低下はもちろん飛蚊症といった症状があらわれたり、網膜剥離や緑内障など他の病気と合併している可能性もあり最悪のケースは失明の可能性もあるでしょう。

糖尿病網膜症の原因

冒頭でも糖尿病網膜症の原因を簡単に説明しましたがここではより詳細にその原因について紹介します。

糖尿病にかかると血液中の糖分を細胞がうまく吸収できないので結果的に血糖のコントロールが難しい状態になります。

さらに糖尿病のように高血糖の状態が継続的だと血管障害を引き起こす可能性があるんです。

同じ血管でも目の網膜は細い血管で繋がっているので障害を受けやすく、障害を受けると栄養分を補うために新生血管を作りますが結果的にこの存在が視力のかすみや低下の原因となっています。

糖尿病網膜症の進行による分類

糖尿病網膜症もその進行具合によっていくつかに分類することができます。

具体的には下記のような三段階に分けて進行していきます。

単純糖尿病網膜症

針の先で突いたような小さな点状の出血、細い血管が膨張する毛細血管瘤、脂肪やたんぱく質といった成分が沈着してシミになる硬性白斑といった症状があらわれます。

どれも自覚症状は感じにくく、たとえ感じたとしても視力に影響を与えることはありません。

増殖前網膜症

網膜に血液が行き渡らなくなり酸素欠乏になる部分がでてきます。

この時点でも視力に対する影響はないものの新生血管がでてくる前段階なので、これ以上先に進行してしまうと視力のかすみや低下が症状にでてくるでしょう。

また軟性白斑と呼ばれる白いシミがあちこちに見られるのも特徴です。

増殖網膜症

網膜症の最終段階にあたるのがこの増殖網膜症と呼ばれる状態です。

この段階までくるともろく破れやすい新生血管を生成してしまうので、破れた拍子にあらわれる硝子体出血や網膜剥離といった症状を引き起こす可能性があります。

他にも視力低下や飛蚊症といった症状も見られるだけでなく、赤いカーテンがかかったような症状もあらわれてきます。

これら三段階の症状がどのペースで進行していくかは個人差がありますので、共通する対策として正しい血糖コントールをおこなっていくことが重要です。

まとめ

  • 糖尿病網膜症とは糖尿病の合併症として網膜症が発症した状態のこと。
  • 糖尿病は血液中の血糖が慢性的に高くなることで発症する病気。
  • 日本の糖尿病患者数は予備軍を含めて約2,000万人とされている。
  • 症状には視力低下や飛蚊症をはじめ網膜剝離や緑内障などさまざま。
  • 糖尿病網膜症の原因は高血糖からの血管障害によるもの。
  • 糖尿病網膜症には3段階の進行レベルが存在する。

いかがだったでしょうか? 糖尿病網膜症の症状や原因について知ることはできたでしょうか。

今回の記事だけを読むと糖尿病網膜症は怖い病気だと思ったかもしれません。

もちろん怖い病気であるのは間違いないのですが予防や治療の方法はあるので、もし網膜症の疑いがある方は諦めずにまずは専門医による眼底検査を受けてみてください。