白内障の看護のポイントから術前・術後のケア方法まで解説

2021.07.16

白内障の看護のポイントから術前・術後のケア方法まで解説

白内障の看護についてどうしたらよいのかと疑問に思ってはいませんか?

白内障は、光がまぶしく感じたり目がかすんで見えづらかったりすることで日常生活に支障をきたしてしまう病気です。

一度の入院で両眼の手術はできないわけではないですが、担当する病院のスケジュールの問題や白内障の進行状態によっては日帰り手術が行えない場合もあります。

そこでこの記事では、白内障の看護のポイントから、術前・術後のケア方法などを詳しく解説します。

白内障とは

白内障とは、水晶体が加齢とともに白く濁って視力が低下する病気のことを言います。

水晶体は、目の中でカメラのレンズのようなはたらきをする組織で、外からの光を集めてピントを合わせる働きがあります。

通常は透明な組織なのですが、白内障では白く濁ってしまうため、集めた光がうまく眼底に届かなくなり、以下の症状が引き起こされます。

  • 視力の低下
  • 光のまぶしさが増加する
  • 視界がかすむ
  • 暗いときと明るいときで見え方が違う

などの症状が引き起こされてしまい、程度によっては日常生活に支障をきたすほど重症化してしまうこともあります。

白内障看護の準備

白内障手術を行う方への術前・術後ケアを適切に行うためには準備が必要です。

これから看護をするにあたり、術部に感染症が起こらないように術者が使用するものには衛生面に気をつけるようにしてください。

また、状況に応じて点眼麻酔薬、消毒薬、眼内還流薬などが必要になる場合もあるので医師にしっかりと確認するようにして下さい。

手術前の看護のポイント

これから手術される方の不安感や孤独感の軽減に努め、話をしっかりと傾聴し、必要であれば医師らと連携を取るようにして下さい。

白内障手術を受ける方の多くは、ご家族内の高齢の方が多く、認知症や難聴や認知症を伴っている場合もあります。

自宅でも繰り返し話をして、できるだけ不安を取り除くようにして下さい。

手術中の看護のポイント

手術中の看護には注意が必要です。

まずは以下の「白内障手術中における看護介入の考察」をご確認下さい。

患者に対し声かけやタッチングが有用であるとされているが,安全性が損なわれる危険が
ある。医師・患者双方の意見を聴取し,役割期待から術中看護介入を考察することとした。
方法:A 病院の白内障手術執刀医 19 名および白内障手術を受けた患者 312 名へ質問紙調査し,役割期待を考察した。
結果:医師は「患者情報の把握」「手術進行の把握」「速やかな合併症対応」「精神的ケア」「全身状態の観察」を期待し
ており,患者へ声をかける行為は避けてほしいとの回答が多かった。
看護への役割期待があった患者は 16.5%,術中看護に不満の意見はなく,手術進捗を教えてほしいとの意見が散見さ
れた。
考察:医師は手術中に一人ではできない役割を看護師に期待し連携を求めており,患者は看護に対しての期待よりも手
術チーム単位での期待がある。医師との連携強化により双方の役割期待に応えることができ,安全安楽な手術に繋がる
と考える。
引用元:白内障手術中における看護介入の考察

こちらを参考する限り、手術中の声掛けなどは基本しない方が良いことがわかります。

手術後の看護のポイント

手術後は、眼が見えにくくなる方、場合によってはしばらくの間、全く見えなくなることがあります。

このような状態のときは、転倒する危険性があるため、移動時には必ず付き添うようにしてください。

誘導する場合は、手を持って歩くのではなく、斜め前に立ち、肩をつかんで歩いた方が安全です。

また、白内障手術後の最大のリスクは術後感染症であるため、身の回りのものを清潔に保つ必要があります。

さらに、適切な点眼を行い、患部周囲を擦らないなどの注意事項を守るよう説明してください。

術後しばらくの間、目に異物感の自覚や、白目の充血が見られることがありますが、感染時は、視力低下や眼痛の増強、結膜充血の悪化などが見られる場合があるため、症状に変化を感じた場合は、すぐに受診をするようにもしましょう。

まとめ

今回の記事では白内障の看護のポイントについて詳しく紹介してきました。

今回の看護のポイントをまとめると、

  • 手術前は、手術される方の不安感や孤独感の軽減に努める
  • 手術前は、話しかけられる状況があっても基本話しかけない
  • 手術後は、術後感染症に気をつける

以上となります。

白内障の手術を行う本人も大変ですが、ご家族の方も適切な看護をすることでさまざまなリスクを回避することができます。

これから手術予定のある方は、ぜひ参考にしてくださいね。