高血圧が原因で白内障を発症する危険性はあるのかについて解説

2021.10.26

高血圧が原因で白内障を発症する危険性はあるのかについて解説

高血圧が原因で白内障を発症する危険性はあるのでしょうか。

目の中のレンズの役割をしている水晶体が濁ってしまい、光が通りにくくなり、見えにくくなる病気「白内障」は、ぼやける、かすむ、まぶしい、視界が暗く感じる、視力が落ちるなどの症状が現れるので日常生活に支障をきたす病気。

今回の記事では、白内障と高血圧の関係性について詳しく解説します。

白内障と高血圧の関係性

白内障は、さまざまな原因で引き起こされますが、最も多い原因は、加齢によるもの。この加齢によって発症した白内障を「加齢性白内障」と呼びます。

たんぱく質は、加齢や、長年にわたる紫外線曝露など、さまざまな影響を受けて、だんだんと変化し水晶体が白く濁ることで、視力の低下などの症状を招きます。

高血圧や飲酒も、白内障の原因となるという報告はありますが、否定的な報告も多く確定的な原因とは考えられていません。

そのため、現状の研究結果では、まだ高血圧が原因で白内障を引き起こされるといった確証はありません。

高血圧の人でも白内障手術は可能?

高血圧の方や、糖尿病の方でも白内障の手術を受けることはできます。

高血圧や糖尿病に限らず、全身的な病気をお持ちの方でも、通常は日帰り手術が可能です。

ただし、眼の状態や医師が手術不可能と判断される何かしらの原因がある場合もあるので、100%必ず白内障手術を行うことができるとは断言できません。

医師の判断に従い、的確な治療を行うようにして下さい。

高血圧性網膜症とは

白内障とは異なりますが、高血圧が原因で引き起こされる病気に「高血圧性網膜症」があります。

主に、高血圧に伴う血管障害などにより、網膜の出血や浮腫などの障害が出る病気で、軽度の高血圧であっても、長い間治療しないでいると網膜の血管が障害を受けることがあるので注意が必要です。

初期では眼の自覚的な症状はほとんど現れませんが、急激に血圧が上がる急性高血圧症では網膜の出血やむくみが起こり、視力が低下することがあります。

高血圧症の大部分を占める原因不明の本態性高血圧では、初期に自覚症状が現れることは少ないのが特徴です。

詳しい症状や原因、検査方法、治療方法については、「高血圧性網膜症とは?その症状・原因・検査方法・治療方法を解説」のページで詳しくまとめてあるので気になる方は確認してみて下さい。

その他高血圧の人がなりやすい眼病

高血圧症の方は、網膜血管との関係性を理解しておく必要があります。

人のカラダは、全身を巡る血液によって健康が維持されています。血液は一定の血圧によって流れ、それを調節しているのがポンプ役である心臓から送りだされる血液の量と、その血液が血管を流れるときの流れに対する抵抗力です。心臓が強く働いて多量の血液が送りだされたり、末梢血管が細くなって血液が流れにくくなったりすると血圧は上がり、逆の場合は血圧が下がる特徴があります。

このようなに、心臓の働きや血管の太さなどの調節は、自律神経や腎臓、ホルモンバランスなどによって行われているのですが、なんらかの原因で血圧が上がる方向に調節が狂うと、血圧が高くなりカラダに害となるさまざまな症状を発症させてしまいます。

これを、眼の血管でみてみましょう。網膜動脈は抵抗血管の代表です。しかも、じかに見ると、それが太いか細いかを判断できます。また、少しまぶしいのを我慢すれば、眼底検査で網膜血管を見ることができ、血圧が上がってしまう重要な原因をある程度判定できます。

高血圧眼底(こうけつあつがんてい)と呼ばれる目の病気も、高血圧が原因で引き起こされる病気です。

初期段階では、自覚症状はありませんが、症状が進行すると、血管が詰まったり、眼底出血を引き起こしてしまったり、視力低下や飛蚊症などの症状が現れ始めます。

今現在、高血圧に悩まされ、上記症状が見られるような場合は、何かしらの目の病気を抱えている可能性があるので、早めに眼科を受診するようにして下さい。

まとめ

今回の記事では、白内障と高血圧の関係性について詳しく解説してきました。

このページをまとめると、

  • 白内障の主な原因は加齢によるもの
  • 高血圧が白内障の原因となるという報告はある
  • 現状、高血圧で白内障になるとは断言できない
  • 高血圧は高血圧性網膜症のリスクになる

以上となります。

高血圧で白内障になるという研究結果や報告はありますが、否定的な意見も多く、現状ではまだ断言できない状態です。

しかし、高血圧は、カラダに多くの負担をかけると同時に、高血圧性網膜症など他の目の病気を引き起こしてしまう可能性があります。

現在、高血圧の方で、眼に何かしらの違和感がある方は、早めに眼科を受診して早期検査・早期治療を行うようにして下さい。