放射能と白内障の関係性!被ばくによる発症リスクについて解説

2018.12.09

白内障

放射能が白内障の発症リスクを高めることはご存知でしょうか?

これにはちゃんとした研究結果が得られており、放射線が水晶体周辺部皮質混濁を引き起こすとされています。

そこで今回の記事では、白内障と放射能の関係性について詳しく紹介します。

放射能被曝で白内障になる?

白内障は有名な目の疾患ですが、発生させてしまう原因の1つにこの放射能があります。

白内障とは、眼の水晶体という部分が白く濁ってくる病気で、白くにごる多くの原因は加齢による老人性白内障(加齢白内障)と言われています。

この老人性白内障は白内障患者の7割以上を占めていますが、他にも先天性や外傷性、アトピー、糖尿病など代謝性の病気、薬剤による白内障があり、放射能も白内障を発生させてしまう原因の1つなのです。

この放射線白内障は、マスコミや政府ではあまり大々的に取り上げませんが、多量の放射能被爆は、目に影響を及ぼすとされ、2011年の震災後から2012年度にかけて眼科関連の患者数が前年度と比べて三千人も増加したというデータもあります。

白内障と放射能の関係については、放射能被曝の影響を中々認めようとしない国連であっても、「国連科学委員会報告」などの資料の中で「高い線量を被ばくした群において白血病(確率的影響)と白内障(確定的影響)の罹患率が上昇する」と関係性を認めているほどです。

福島原発事故で大気中にバラ撒かれた放射性物質の量は、チェルノブイリ事故の約3倍とも言われているので、非常に膨大な量です。そのため、マスコミなどで報道はされないにしろ、白内障患者が増えていると考えてもおかしくない放射性物質量と言えるのではないでしょうか。

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放射線の白内障発症リスクとは

検査

放射線の白内障リスクとはどのようなものなのでしょうか。

こちらの記事「放射線の白内障リスク」を参考にすると以下のことがわかります。

従来、放射線の眼の水晶体への影響は、被曝後、主として2-3年(0.5 – 35年)で細隙灯顕微鏡検査により観察される後嚢下部軸混濁が出現し、その閾値は、0.5-2.0 Gyであり、視力障害をきたすことなく長期に安定しているとされてきた。

また、より高い線量では、視力障害を伴う放射線白内障を発症するが、その閾値は、5Gyであるとされてきた。

このように被爆者の後嚢下部軸混濁や多色性変化などの水晶体所見に線量との関係が認められたが、周辺部混濁(所謂、老人性白内障)には線量との関連は認めなかった。

しかし、これに反する知見が、その後、得られている。Wideらは、血管腫に対し放射線治療(1-8Gy)を幼児期に受けた患者の照射を受けなかった側の眼に(最小で0.1Gy)、照射30-45年後に、後嚢下部軸混濁の水晶体変化があることを認めた。

出典:放射線の白内障リスク

簡単に要約すると、今までは放射線と白内障の関係はないとされていたものが、さまざまな研究結果などにより認められたということです。

チェルノブイリ事故の被災国ウクライナ政府の報告

チェルノブイリ事故とは、チェルノブイリ原子力発電所事故のことで、1986年4月26日にソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故です。

その後に決められた国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類されており、世界で最悪の原子力発電所事故の一つとされています。

このチェルノブイリ事故後には、甲状腺疾患、白内障、白血病、心臓や血管の疾患など、子どもたちの疾患が増加し、現場の医師たちから、警告の声が発せられたことでも知られています。

実際に、『チェルノブイリ事故から 25 年 “Safety for the Future”の「ウクライナ政府(緊急事態省)報告書」によると、白内障の70%以上が老人性白内障なのに対して、チェルノブイリ原発事故後には、子どもたちの集団における白内障などの健康影響も報告されています。

福島原発事故後の日本の白内障

原発

2010年から2011年にかけて白内障や水晶体の疾患が増加し、そこから2012年、2013年と毎年増加しているデータがあります。

チェルノブイリで増えた白内障や血管の病気、貧血などは、福島県でも増えているというデータがあり、「福島原発事故後に増えている病気」こちらによると、実際に白内障、水晶体の疾患は2倍になり、静脈・リンパ管疾患は2.5倍になっているようです。

水晶体被ばく線量の限度は?

実際に、放射能が白内障の原因となると言っても水晶体被ばく線量の限度がどのくらいなのか気になりますよね。

眼の水晶体の等価線量限度の見直しの検討状況について(報告)」によると、“2011 年(平成 23 年)の国際放射線防護委員会(ICRP)のソウル声明において、水晶体の等価線量限度について「定められた5年間の平均で 20mSv/年、かついずれの1年においても 50mSv を超えない」ことが勧告された(我が国の現行規制は、150mSv/年)。”とされています。

さらに、“また、水晶体の被ばく量の測定に関し、我が国の現行規制は「1cm 線量当量
又は 70μm 線量当量のうち適当な方」となっている。新たな等価線量限度の取入れに際し、従来と比べ正確な測定が必要となる場合が見込まれるため、3mm 線量当量での測定を可能としつつ従前の1cm 線量当量又は 70μm 線量当量での測定も認めるべきとした。“

新たな水晶体等価線量限度に関する放射線防護の課題は残っているようですが、水晶体被ばく線量の限度はこのように決まっているようです。

放射線治療で白内障は発症するのか?

放射線治療

放射線の白内障発症リスクとはでも参考した「放射線の白内障リスク」によると、2006年6月から2002年9月までの期間、成人健康調査(AHS)対象者対して眼科調査が行われたようです。

この眼科調査で873人について解析が行われ、原爆被爆後30数年以降に発生した後嚢下混濁および水晶体周辺部皮質混濁の二つの型の白内障に新たに放射線の影響があることが分かったそうです。

この調査結果は、小児期に血管腫の放射線治療を受けた人において、30~40年後に白内障が増加したというスウェーデンの研究報告に合致するようです。

放射線治療を受けてすぐに白内障になるというようなことはないにしろ、放射線治療による影響はないと言い切れなくなってしまっているのも現状です。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、白内障と放射能の関係性について詳しく解説してきました。

このように放射能が白内障の発症リスクを高めるということが最近の様々な調査結果で証明されています。

そのため、放射線治療などを行うようなことがあれば、しっかりと医師に確認してから行うようにして下さい。